本文へジャンプ         本文へジャンプ        



 技術・技能教育研究所・森 和夫ホームページ 



キーワード解説
「暗黙知とは何か」



暗黙知とは何かについて考えて見よう。この言葉の構成に全てが隠されている。
「暗黙」と「知」の意味を探れば内容を示すことが可能だ。


森 和夫  技術・技能教育研究所



2020/06/07 追加記載

暗黙知とは何か
「暗黙」とは「暗く黙っていること」をさしている。「黙して語らず、暗闇のごとく明らかにできないこと」だ。
「知」とは「知恵」と「知識」とからなる。人間が獲得した「認識による成果」と「道理にかなった対処の仕方」のことだ。
結論から述べると次のようになる。
暗黙知とは 「表現が困難で、記述しにくい知」と定義する。
これの反対語が形式知と呼ばれている言葉だ。
形式知とは 「表現が容易で、言葉で記述ができる知」と定義する。
暗黙知の定義には知のことを知識のみ扱うものがあるが、より明確に示すためには「知」は「知恵」と「知識」の2つに分けて考えるとよい。
知識とは「認識によって得られた成果、知られていること」だ。
これは数多くの経験によって、得られた成果をさしている。これによって認識が明瞭になり、知ることとなる。







知恵について調べてみよう。下記のような内容が記載されている。

※知恵
1 物事の道理を判断し処理していく心の働き。物事の筋道を立て、計画し、正しく処理していく能力。「―を借りる」「生活の―」
2 (智慧)仏語。相対世界に向かう働きの智と、悟りを導く精神作用の慧。物事をありのままに把握し、真理を見極める認識力。
出典:デジタル大辞泉(小学館)

このように、暗黙知の主要な内容は知恵にあるといえる。
知恵とは「道理を判断し処理していく働き。筋道を立て、計画し、処理していく能力」のこととしよう。
私たちは数多くの経験によって、その行為には何が本質かを見極め、最も合理的で納得のいく方法によって処理するようになる。



暗黙知を表現するにはどうするか
暗黙知は表現が困難ではあるが、やってやれない訳では無い。
表現の手段には多種多様なものがある。私たちはこれらの表現手段を駆使すれば良いのである。
①言語表現
②数値表現
③音の表現
④絵画・イラストによる表現

これらの表現が困難な場合でも対策はある。
⑤映像記録
⑥動作記録
⑦音声記録

これらによって表現の幅は広がる。
しかし、暗黙知の知恵の部分は表現の問題ばかりでは無い。
知恵は何か?
これを明らかにしなければ暗黙知は表現できない。
つまり、暗黙知が表現できないのは、「なぜそのようにするか」という肝がわからなければ、いつまでも暗黙知のままである。



つづく




暗黙知はそのまま放置していただけでは暗黙知のままである。
暗黙知を明確化する理由はそれをわかりやすく伝承するためだ。
ここでは暗黙知を明確化して技能伝承に役立つように整理する方法を紹介する。





カンは「勘」と書く。
「感覚や感じ方、捉え方」をいう。
重要な感覚、感じ方、捉え方のことだ。
「勘」と類義語の「直感」には「推理・考察などによらず、感覚的に物事を瞬時に感じとること」とある。
このようにある事象を前にして・・・・・・・








特許庁技術懇話会では機関誌「特技懇」誌を発行している。この268号は特集 「知の継承」を企画した。
森和夫「暗黙知の継承をどう進めるか」2013年1月28日
インターネットで全文公開中。→ 暗黙知の継承をどう進めるか
http://www.tokugikon.jp/gikonshi/268/268tokusyu2-4.pdf





GINOUKEN Essential シリーズ(2020年版)は→こちら
技術・技能教育研究所の研究開発成果のバックナンバーから最新の成果までを収録
技術・技能伝承 、技能分析・マニュアル作成、暗黙知指導の方法、大学教育FD・指導方法、 看護教育・クリニカルラダー、クドバス




    







現代の職人を考える~新職人論~ 2020/09

職人について調べてみると、これが職人の定義なのか?と思うことがある。
このような古いイメージの職人は現代社会では少ないのである。
現代の職人とは何か、街中にも工場にも、もっと広げて言えばものづくり以外にも職人はいる。
ここでは現代に合わせて職人を描いてみよう。




職人の考え方の原点には「こだわり」がいつも見いだせる。いわば妥協しないことの意味,意義が見いだせる。
例えば,素材へのこだわり,道具へのこだわり,機械に対するこだわりなどがこれである。
一般に,ものづくりには必然的にこだわりが欠かせない。
職人たちは最高・最良のものを目指すためにそれにふさわしいあり方を追及しているのである。
筆者が経験した職人たちとの対談,職人の意見発表,仕事場でのインタビューをもとにして,仕事の仕方について整理してみると次のようになる。








----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

お知らせ
2018/3/20 大妻女子大学人間生活文化研究所から出版し公開しました。
森 和夫「技術・技能論-技術・技能の変化と教育訓練-」


  "Skilled Labor on High-Tech Age"

  大妻女子大学人間生活文化研究所から出版 ( 2017/07/18 )
  ・誰でも、いつでも読める電子書籍です
  eBOOKのダウンロードは → こちら 

 Contents
 1. Thinking about Skill and Technology
 2. Clarifying the Science of Skill
 3. The World of “Wisdom” which “Technique” creates
 4. Skilled Work on High-Tech Age
 5. High-Tech Skills and Original Skills
 6. Technical Education on High-Tech Age
 7. The Path to High Level Skill
 8. Digital Task and Analog Task
 9. Engineer Education and Skilled Worker Education
 Reference
 Message from author

 

 
「技術・技能論-技術・技能の変化と教育訓練-」

  「ハイテク時代の技能労働」に加筆し、発刊。
  大妻女子大学人間生活文化研究所から出版 ( 2018/03/20 )
  ・誰でも、いつでも読める電子書籍です
  eBOOKのダウンロードは → こちら
 

 目 次
 1 技能と技術を考える
 2 技能の科学を明らかにすること
 3 「技」が創る「知」の世界-酒造りの技能の伝承と機械化をめぐって
 4 ハイテク時代の技能労働
 5 ハイテク技能と原初技能
 6 ハイテク時代の技能教育とその展望
 7 高度熟練への道
 8 デジタルタスクとアナログタスク
 9 技術者教育と技能者教育の狭間を考える
 あとがき
 著者プロフィール

  

----------------------------------------------------

※森 和夫 略歴
職業能力開発、産業教育学・労働科学を専門とし、産業界を中心に活動。ライフワークは「技の上達」、博士(工学)。現在は技術・技能伝承、人材育成等のセ ミナー・講演の他、企業との共同研究、コンサルテーション、出版活動を行っている。現職は株式会社技術・技能教育研究所代表取締役、一般財団法人 職業教 育開発協会代表理事。
主な経歴は東京農工大学教授(〜2006年3月)、徳島大学教授(〜2004年3月)、職業能力開発総合大学校教授、助教授、講師(〜2000年3月)。 学会活動は日本産業教育学会、日本人間工学会、人類働態学会、日本教育心理学会などで活動。海外活動はJICAよりマレーシア、ガテマラ共和国、ボリビ ア、フィリピンに海外短期派遣専門家として派遣され技術教育の指導者養成を実施した。

基礎研究とプロダクツの関連
 技術・技能教育研究所の研究は「技術・技能研究」「職業能力研究」「指導技術研究」の3分野から構成されている。これらによって技能習熟理論が構築さ れ、能力構造論として集大成される。この内容の基盤にあるものは能力論である。この基礎研究から幾つかのプロダクツが生み出された。仕事分析手法 CUDBAS、指導技術訓練システムPROTS、技能伝承システム、技能分析手法SAT、生産技術教育の方法理論、人材育成の見える化コンセプト、開発的 指導法がそれである。これらのプロダクツは時代のニーズに対応して応用プロダクツを生み出した。社会で、企業で利用され進化することで、広大なアプリケー ションが生み出される可能性を秘めている。



-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


職業教育開発協会主催セミナー③
暗黙知指導の理論と実際

~生産性を向上させる暗黙知の指導は重要課題、その理論と実際を演習で学ぶ講座~


開催日時  2019年8月より隔月開催  9:30~16:30 

会場    江東区文化センター 研修室他(東京都江東区)
参加対象  暗黙知が伝えられない悩みを持つ方、暗黙知を後継者に伝えたい方、団体及び企業の教育担当部署及び研修センターなどで教育指導をしている方、
     人材育成の担当者及び指導者の方、技術・技能伝承に従事している方、これから従事する方、その他テーマに関心のある方。
定員   20名
使用する手法  SAT技術・技能分析手法、暗黙知インタビュー手法、技術・技能マニュアル作成法
配布テキスト等  暗黙知指導の理論と実際テキスト (オリジナルテキストを配布)


受講料  36,000円(税込)
主催   一般財団法人 職業教育開発協会



ねらい

1. 暗黙知の定義からその性質までを検討します
2. 暗黙知に対する考え方、取り組み方を考え、暗黙知伝承のあり方を考えます
3. 暗黙知の明確化と技術・技能分析手法を演習します
4. 暗黙知伝承の方法・システムを検討します
5. 暗黙知伝承の実例を紹介します

はじめに
 ベテランは長い間の経験によって暗黙知を獲得し、それによって仕事を進めています。この暗黙知は企業の大切な資源です。暗黙知はひとりひとりの能力と
して蓄積されます。この資源を多くの後継者に伝承できれば、生産性は飛躍的に向上できるのです。しかし、暗黙知伝承は簡単にはできないものです。なぜな
ら、暗黙知の多くは表現しにくいという点にあります。ですから、暗黙知伝承は思いつきや、見よう見まねの取り組みでは成果にはならないものです。
 このセミナーでは暗黙知とは何か、暗黙知の特性や種類、対応の仕方、伝承方法を学習します。重要な暗黙知の明確化を技術・技能分析手法、暗黙知インタビ
ューで明らかにしていきます。セミナーでの説明はわかりやすく、そして演習を中心にして学習します。職場人材の育成に関わる方々、指導者の方々に受講を
お勧めします。

プログラム
1.暗黙知伝承の必要性
2.暗黙知を捉える
 2.1暗黙知とは何か、どう伝えるか
 2.2暗黙知の4種類・4階層の仮説
 2.3作業概念の形成を考える
3.暗黙知伝承の方法論
 3.1暗黙知伝承の考え方 
 3.2伝承活動の基本モデル
 3.2活動の展開プログラムと実践例
4.暗黙知の明確化の実際(演習)
 4.1技術・技能分析の考え方・整理の仕方
 4.2技術・技能分析の方法演習
 4.3暗黙知インタビューの方法演習
5.暗黙知伝承のあり方
 5.1本質を追究すること
 5.2ものの見方、考え方を伝えること
 5.3ものごとの多面的理解と多角的発想
 5.4研究開発の暗黙知伝承の仕方
6.まとめ


講師
森 和夫 職業教育開発協会




独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 東京支部生産性向上人材育成支援センターでオープンセミナー「作業手順の作成によるノウハウの継承」を実施します。  詳しくは 雇用支援機構東京支部ホームページをご覧ください。
※募集サイトは→こちら https://www.jeed.go.jp/location/shibu/tokyo/seisansei/open202108.html

 ※ちらしは→こちら  第2回